研究概要 |
脳神経等の興奮性細胞では、強い刺激と興奮により細胞にCa^2+負荷が生じた場合、自己防衛的にスパイク発生頻度を減じてCa^2-過負荷による細胞障害を回避するシステムが幾種か存在する。特にCa^2+活性化K^+(K_Ca)チャネルはその活性化により、過分極を介して電位依存性Ca^2+チャネル活性を低下させるため、多くの興奮性細胞において最も基本的な[Ca^2+]_i負帰還調節機構を担う重要な分子と認識されている。一方、電位依存性Ca^2+チャネルが機能発現を充分にはしていない非興奮性細胞においては、電位に依存しない非選択的陽イオンチャネルがCa^2+流入経路となるため、K_Caチャネル活性の上昇による過分極は、むしろCa^2+流入を増大させ、[Ca^2+]_i正帰還調節機構を担うことになる。本研究はK_Caチャネルの分子制御機構の解明を基盤とした創薬研究を目的としている。21年度は次の事柄を明らかにした。 (1)精管平滑筋におけるリアノジン受容体とBKチャネルの機能連関を可視化するとともに、男性ホルモンによるこれらイオンチャネルの発現調節機構を明らかにした(J Pharmacol Sci, 2009)。 (2)軟骨細胞由来の培養細胞において、細胞内Ca^2+濃度制御機構において、非選択的陽イオンチャネルとの機能連関により、BKチャネルなどのCa^2+活性化K^+チャネルが重要な役割を果たしていることを明らかにした(Am J Physiol, 2010)。またCl^-チャネルとの機能連関を明らかにした(J Pharmacol Sci, 2010) (3)Na^+-Ca^2+交換体を高発現したマウス膀胱平滑筋において、その生理機能を明らかにした。 (J Pharmacol Sci, 2010)
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