1)高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒト間伝播可能な変異を事前に監視する技術開発過程で、イムノクロマトを用いる簡便かつ高感度な鳥およびヒトインフルエンザウイルスレセプター認識特異性監視キットのプロトタイプ技術を構築した。2)さらに、H5N1ウイルスのヒト型レセプター認識変異が実際に起こっているのか明らかにするために、ラオス人民共和国のニワトリ、カモ、ヒトから分離されたH5N1ウイルスの遺伝子解析、レセプター認識特異性、タミフル耐性変異などを指標に調べたところ、よりヒトーヒト感染可能な変異が進行している可能性を明らかにした。3)高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の様々な宿主動物(ネコ、イヌ、ブタなど)におけるN-結合型シアロ糖鎖レセプターの詳細な化学構造を明らかにした。4)高病原性鳥インフルエンザウイルスの宿主であるブタのインフルエンザウイルスの宿主域変異と、宿主に存在するシアロ糖鎖レセプターとが深く関わることを見出した。4)パンデミック対策としてうがいの励行は効果的であるが、うがい薬の有効成分として用いられるポビドンーヨード(PVP-I)の抗インフルエンザウイルス活性およびその阻害機構を明らかにした。5)昨年に引き続き、様々な化学合成シアロ糖鎖につき、抗インフルエンザウイルス活性を調べ、いくつかのインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼスパイクが持つ新規シアリダーゼ活性阻害剤を見出している。6)様々な視点からパンデミック新型インフルエンザ(2009)の流行について記述した「インフルエンザ21世紀」(瀬名秀明著、鈴木康夫監修、文春新書、2009年12月初版)を発行した。
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