1)簡便なヒトおよび高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)レセプター認識特異性を識別監視出来るキットのプロトタイプを作製した。合成シアロ糖鎖ポリマー、抗H5モノクローナル抗体およびイムノクロマト技術によるヒトおよび鳥インフルエンザウイルスのレセプターシアロ糖鎖認識(Neu5Acα2-3Gal or 2-6)を簡便かつ迅速に測定する技術「反応時間15分で完了」を開発した。さらに高度化かつ適用範囲の拡大を目指す。2)ブタの上、下気道、肺におけるインフルエンザウイルスレセプターN-グリカンには、ヒトの上気道に発現するヒト型糖鎖レセプター「N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)α2-6ガラクトース(Gal)β1-」が鳥型シアロ糖鎖レセプター(Neu5Acα2-3Galβ1-)に比べ3~5倍多いことを見出した。これにより、ブタはその体内で鳥インフルエンザウイルスのヒト型への変異を可能にする中間宿主として重要であることが示唆された。3)H5N1ウイルスに感受性である動物(ネコ、イヌ、トラ、ニワトリなどの家禽)におけるレセプターシアロ糖鎖の分布をレクチンを用いて調べた。その結果、ニワトリ個体からヒトへの適応性を獲得した変異H5N1が発生する可能性を見出した。4)ラオス人民民主主義共和国におけるH5N1分離株にヒト間伝播可能な変異およびNA阻害剤抵抗性株を見出した。5)1918年に発生したスペインインフルエンザの病原性発現にウイルスノイラミニダーゼスパイクの細胞内エンドソーム・リソソームにおける弱酸性安定性が関わることを発見した。6)日本産の梅から製造される梅肉エキスに存在する新物質ムメフラールは、多様な抗インフルエンザウイルス(Pandemic Influenza(H1N1)2009を含む)活性を持つことを明らかにした。7)インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ機能を阻害する新しい合成分子を見出した。
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