研究課題/領域番号 |
20390035
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰之 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (80126002)
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研究分担者 |
猪股 浩平 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (60221785)
太田 公規 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90347906)
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キーワード | 医薬分子設計 / 核内受容体 / エストロゲン受容体 / アンドロゲン受容体 / 疎水性相互作用 / アンタゴニスト / ホウ素クラスター / 分子認識 |
研究概要 |
本研究者は新規立体的疎水性構造単位を医薬分子設計に応用することにより、核内受容体制御リガンドの設計により、形状認識の差による活性表現の方向性の制御、新しい機構のアンタゴニズム様式等の開拓に成果を挙げている。これら独自の知見に基づき、23年度は上記のコンセプトによる核内受容体リガンドの分子設計、合成、活性評価を行い、次の成果を得た。(1)本研究者が見出したp-カルボランを疎水性構造とするアンドロゲン受容体アンタゴニストBA341のX線結晶構造解析を行い、ARのリガンド結合部位とのdocking simulationにより結合様式の推定を行なった。さらに、BA341のhydroxymethl基の受容体結合における役割を精査する目的で、誘導体の合成、活性試験を行なった。(2)カルボラン骨格を有し、アミド結合で芳香環を連結した化合物群を新規アンドロゲン受容体アンタゴニストとして、設計・合成した。前立腺がんでは、既存の抗アンドロゲン薬がARの変異により抵抗性を示す場合があり、これらの化合物は変異ARをもつLNCaP細胞にも有効性を示し、効果的な治療薬となる可能性を示した。(3)ビタミンD受容体(VDR)アゴニストとして、p-カルボランを疎水性構造として有する化合物の設計・合成及び活性評価を行った。合成した化合物はビタミンDと同様の活性を示し、カルボラン構造がVDRに対して有効な疎水性ファーマコフォアであることを見出した。これらの結果は、核内受容体制御化合物の設計への球状疎水性構造の適性を実証するとともに、従来の医薬と異なる新規骨格を有し体内動態が異なる新しい医薬候補化合物を創製することに繋がるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンドロゲン受容体アンタゴニストとして本研究者らが見出したBA341のX線結晶解析によって立体構造を確立し、それを利用したアンドロゲン受容体とのドッキングシミュレーションにより、本研究の基盤となる知見を得るとともに、類縁体の設計・合成により変異受容体に対してもアンタゴニスト作用を有する化合物開発の端緒を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
新規疎水性構造を用いた核内受容体リガンド設計のうち、ビタミンD受容体リカンドについては一応の成果決着を得た。今後は引続き、エストロゲン受容体及びアンドロゲン受容体制御リガンドについて、形状認識の差による活性表現の方向性の制御、新しい機構のアンタゴニズム様式等の開拓に力を入れる。
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