研究分担者 |
奥田 晴宏 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 部長 (30160807)
梅村 隆志 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 室長 (50185071)
大野 彰子 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 主任研究員 (70356236)
正田 卓司 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 主任研究員 (60435708)
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研究概要 |
アルツハイマー型痴呆や脳血管性痴呆の予防薬への利用を目的とした平面型カテキンの誘導化を行った. 1)脳をターゲッティングとした平面型カテキン誘導体の設計・合成:平面型カテキン誘導体の脳への移行を可能とする為には,脳血液関門を通過し易い構造への化学修飾が必要である。そこで,老人性痴呆の予防薬や治療薬の構造を平面型カテキンに導入した誘導体を合成した.また,アミロイドβから発生する活性酸素を消去する目的でアミロイドに対して親和性を示す側鎖を導入したカテキン誘導体を合成した. 2)ラジカル消去能の化学的解析:合成した平面型カテキン誘導体の活性酸素(ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシド)等に対するラジカル消去能を解析した.有機酸素ラジカルとしてガルビノキシルラジカルを用いて,分光学的手法により平面型カテキン誘導体によるラジカル消去能の速度論的解析を行った.その結果,脳内移行を目的とした置換基やアミロイドβに親和性を示す置換基を平面型カテキンに導入してもラジカル消去活性の低下はみられず,強力な抗酸化作用を示すことがわかった. 以上,申請者が開発した平面型カテキンを老人性痴呆の予防薬として利用する目的で,脳血液関門通過型カテキン誘導体およびアミロイドβ親和性カテキン誘導体を合成した.これらの化合物は強力な抗酸化活性を有することから脳内で発生する活性酸素由来の神経毒性や脳血管障害を予防することが期待される.
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