研究課題/領域番号 |
20390039
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 一弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70323293)
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研究分担者 |
玉岡 晃 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50192183)
柴田 康行 国立環境研究所, 化学環境研究領域, 領域長 (80154251)
瀬戸 康雄 科学警察研究所, 法科第三部, 部付主任研究官 (10154668)
平野 靖史郎 国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 室長 (20150162)
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キーワード | 脳・神経 / 薬理学 / 有害化学物質 |
研究概要 |
2003年3月飲用井戸水に混入したジフェニルアルシン酸(DPAA)による健康被害が発覚し、中毒症状として、運動失調,ミオクローヌス,振戦などの小脳・脳幹症状中心に後頭葉、側頭葉の症状が認められた。またDPAA暴露者の脳機能画像検査で小脳・脳幹と後頭葉の血流低下、小脳・脳幹・海馬の糖代謝低下が確認されている。動物およびヒトにおけるDPAA中毒の報告は国内外でも皆無であり、中毒の症状・症候や毒性機序に関する知見もなく、適切な治療法を開発するためには、ヒトにおける毒性発現機構の解明ならびにその毒性評価が重要であり、生体影響に関する、客観的な評価指標が必要である。DPAA中毒動物モデル作成の予備実験で、DPAAによる生体反応や体内動態が齧歯類と霊長類で異なることが判り、ヒトに近いサルを使い実験を行った。DPAA投与直後、1ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の群を作り、DPAA投与中の28日間の行動を観察したが、異常行動や不随意運動はみられなかった。脳血流、脳糖代謝を調べたところ、脳血流は投与前と比べて、投与後は顕著に低下しており、その低下は6ヵ月後にもみられ、DPAA暴露者と同様の結果であった。脳糖代謝変化は現在解析中である。6ヵ月までの各臓器中のDPAA定量の結果、中枢神経系へのDPAA蓄積が、中枢神経系以外の臓器と比べて極めて多いことが明らかになった。12ヵ月後群における臓器内蓄積量の評価、血液・髄液中DPAA量の変化、病理的変化の有無を明らかにする予定である。
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