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2008 年度 実績報告書

芳香族炭化水素受容体による大腸がん抑制機能

研究課題

研究課題/領域番号 20390042
研究機関埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所)

研究代表者

川尻 要  埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 専門員 (50142112)

研究分担者 生田 統悟  埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (00262072)
小林 康人  埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80425652)
キーワード遺伝子 / 環境 / 癌 / シグナル伝達 / 発現制御
研究概要

芳香族炭化水素受容体(AhR)は環境中の化学物質(ベンゾピレンなど)による発がんを促進するが、それとは逆に、大腸がん(特に盲腸がん)の自然発症を抑制することが過去数年の研究から明らかになってきた。すなわち、1)AhR遺伝子欠損(AhR^<-/->)マウスでは生後10週齢以降で盲腸部に腫瘍が自然発症し、最終的には管状腺がんに至る。2)AhRは小腸、盲腸のCryptの底部に存在して腸内細菌に対する生体防御反応に関与しているパネート細胞に主に発現している。3)AhR^<-/->マウスではβ-カテニンの異常蓄積がみられる。AhRはリガンド依存的なE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成成分であり、プロテアソーム依存的な蛋白質分解を促進するが、β-カテニンをその基質の一つとすることを培養細胞の系、及びin vivoの腸上皮細胞で明らかにした。腸におけるAhRの活性化は、腸内細菌の働きで生じたトリプトファンやグルコシノレートの代謝体がAhRナチュラルリガンドとして働き、外来性リガンドと同様にβ-カテニンの分解を促進する。本年度は平成20年度交付金申請書の研究実施計画[1]で示したようにAhRと従来のApc経路の関係をApc^<Min/+>とAhR遺伝子の二重遺伝子欠損マウスを用いて解析した。その結果、両者は独立的、かつ、協調的にがん抑制に働いていることが明らかになった。又、この研究結果を利用して、AhRナチュラルリガンドであるI3CやDIMを含む飼料をApc^<Min/+>マウスに与えたところ小腸、盲腸における発がんが顕著に抑制されることを見出した。以上の研究結果より、AhRはリガンド依存的にβ-カテニンを分解することにより発がんを抑制していることが明白となった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] AhR protein trafficking and function in the skin2009

    • 著者名/発表者名
      Ikuta, T. Kawajiri, K., et al
    • 雑誌名

      Biochem. Pharmacol. 77

      ページ: 588-596

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Persistent Organic Pollutants (POPS) Research in Asia (Ed. M. Morita)2008

    • 著者名/発表者名
      Fujii-Kuriyama, Y. Kawajiri, K., et al.
    • 雑誌名

      Mechanisms of toxicological and physiological actions of aryl hydrocarbon receptor (AHR) in mice

      ページ: 322-325

  • [学会発表] Ahレセプター(AhR)リガンドによる Blimp1 mRNAの誘導2008

    • 著者名/発表者名
      生田統悟, 川尻要等
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会、第81回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20081200
  • [学会発表] Aryl hydrocarbon Receptor (AhR)の大腸がん抑制機能について2008

    • 著者名/発表者名
      川尻要
    • 学会等名
      第14回日本家族性腫瘍学会学術集会・シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20080600

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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