Oat3ノックアウトマウスでは、内因性基質DHEASおよびPET分子プローブ7mPSGの脳内からの排出が低下していることから、Oat3がこれら化合物の排出に働いていることを明らかにした。一方で、PET分子プローブTIC-Aの排出はOat3ノックアウトマウスにおいてわずかに低下したのみであり、トランスポーターの関与は非常に小さいことが示唆された。タミフルの活性体であるRo64-0802について、血液脳関門でOat3、Mrp4によりくみだされることを明らかにした。特に、Mrp4ノックアウトマウスでは血液中からのRo64-0808の移行が顕著に増加することを見いだした。 P-gpとBCRPをともに欠損した場合、個々のトランスポーターのノックアウトマウスで観察される脳内濃度の増加以上の増加が観察され、一見相乗的に作用しているように見えるが、実は個々のトランスポーターの排出能力が単純拡散よりも大きければ、相加的な現象であることを明らかにした。 過剰発現細胞を用いた輸送実験により、D2受容体アゴニストであ。sulpirideがBCRPの基質となることを明らかにした。BCRPの基質認識は種差を示し、ヒトBCRPの方が輸送活性が高かった。BCRP遺伝子は多型を示すことから、血液脳関門における異物排泄の個人差がsulpirideの中枢作用に関連している可能性が考えられる。
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