研究課題/領域番号 |
20390049
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
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研究分担者 |
渡辺 光博 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10450842)
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キーワード | 個別化医療 / 抗癌剤 / 薬剤反応性 / バイオマーカー / プロテオーム / SELDI-TOF MS / オキサリプラチン / イリノテカン |
研究概要 |
本研究は、抗がん剤反応性に関する個人差要因の解明と薬剤反応性の指標となるバイオマーカー開発を目的とする。大腸がん治療の標準療法に用いられるオキサリプラチン(L-OHP)を研究対象とし、ヒト大腸がん細胞を用いて、抗がん剤感受性と相関を示すタンパク質を網羅的に探索した。その結果、抗がん剤感受性と発現量が強く相関するタンパク質を見出し、平成20年度の本研究でLCMS-IT-TOFを用いたプロテオーム解析により、このタンパク質をS100A10と同定した。 平成21年度は、L-OHPに加えてイリノテカン活性代謝物SN-38および5-FUについて、S100A10との関わりについて検討した。その結果、S100A10発現量と5-FU感受性とは相関せず、L-OHPに特異的なタンパク質であることを明らかにした。さらに、S100A10とAnnexin A2の発現量は強い相関を示し、細胞内で両者が何らかの相互作用を有していると推論された。 さらに、抗がん剤高感受性の細胞と低感受性の細胞を用いて、細胞内タンパク質発現プロファイルの変化を網羅的に比較し、surface-enhanced laser desorption/ionization time-of-fight mass spectrometry(SELDI-TOF MS)を用いたプロテオーム解析を行った。L-OHPと5-FUの併用条件において、抗がん剤曝露後に発現が変化する15種類のタンパク質を見出した。SN-38と5-FUの併用では3種類のタンパク質を見出した。次年度において、これらの新規タンパク質の同定を進めるとともに、臨床検体を用いるトランスレーショナル研究を実施し、S100A10の大腸がんにおける抗がん剤反応性診断マーカーとしての臨床応用可能性について検討する。
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