研究課題/領域番号 |
20390050
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
|
研究分担者 |
伊関 憲 山形大学, 医学部, 准教授 (70332921)
八月朔日 泰和 山形大学, 医学部, 准教授 (00372334)
岡田 雅司 山形大学, 医学部, 助教 (70512614)
|
キーワード | ストレス応答 / アポトーシス / p53 / 脂質代謝酵素 / 核 / プロテアソーム |
研究概要 |
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)はプロテインキナーゼCの生理的活性調節因子と考えられ近年、その機能的役割として癌や細胞死のシグナル伝達への関与が注目されている。これまで我々は、DGKアイソザイムのうちζ型DGKが核移行シグナルを有し核内に局在すること、そしてラット脳虚血実験にて海馬錐体ニューロンの核内から細胞質へ移行しアポトーシスの初期過程に関わる可能性があることを明らかにしてきた。またζ型DGKが、癌抑制因子としてよく知られDNA損傷に応答してアポトーシスを誘導する転写因子p53と結合するという知見を得ている。HeLa細胞をDNA損傷因子であるDoxorubicinで処理するとp53タンパクが核内に増加し細胞死が誘導されるが、本研究ではこの細胞実験系を用いて、核局在型DGKζおよび細胞質局在型DGKζがp53の発現局在にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。 その結果、細胞質型DGKζを遺伝子導入するとp53の局在は細胞質優位となり、またDoxorubicinによるp53タンパク発現誘導が強力に抑制さることが明らかとなった。このタンパク発現誘導の抑制は、プロテアソーム阻害剤MG132の添加により認められなくなることから、p53の発現抑制はユビキチン-プロテアソーム系を介するタンパク分解系の促進によることが示唆された。さらにこの時、細胞質局在型DGKζが過剰発現するHeLa細胞においては細胞死が抑制されることも判明した。以上の結果から、細胞質型DGKζはp53の核移行阻害ならびにユビキチン-プロテアソーム系による分解系を調節することにより、p53を介して細胞の生死をコントロールすることが示唆された。
|