研究概要 |
(1)生体膜は、種々の蛋白分子を含有する脂質二重層から構成されており、細胞内外あるいは細胞内の各コンパートメントを境するバリアーとして働くのみならず、情報の変換部位としても重要な役割を果している。 (2)近年、細胞膜脂質の主要構成成分であるリン脂質が、情報伝達系に深く関与していることが明らかになってきた。 (3)申請者は、この生体膜の微量成分であるイノシトールリン脂質の分解産物である脂質性二次伝達物質DGのリン酸化酵素DGKに注目し研究を行っている。これまで、ラット脳から5種のDGKアイソザイム(α,-β,-γ,-ζ,-ι)を単離し、その分子多様性と遺伝子発現の多様性を明らかにしてきた。 (4)しかし、これらDGK アイソザイムの機能的役割については未だ不明な点が多い.申請者は、生体ストレスの誘因として日常、最も頻繁かつ重要と考えられる虚血・低酸素による生体応答について、脂質性二次伝達物質代謝酵素であるDGKを指標として解析を行うことにより、脂質代謝を介するストレス応答について探りたいと考えている。
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