研究課題/領域番号 |
20390055
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
千田 隆夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10187875)
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研究分担者 |
野村 隆士 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20325161)
長谷川 義美 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (40288494)
向後 晶子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (20340242)
大熊 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50329710)
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キーワード | APC / 遺伝子改変マウス / 樹状突起棘 / c-fos / 電気生理学的解析 / PTP / LTP / 甲状腺 |
研究概要 |
1.APCI638Tマウスの異常を多角的に解析し、以下の結果を得た。 (1)ゴルジ銀染色によって大脳皮質と海馬のニューロンの樹状突起棘の形態を観察したところ、APC1638Tマウスの棘は野生型に比べて、数が少なく、個々の棘は小さく、短く、凹凸が少なかった。 (2)海馬の神経細胞の活動を神経興奮マーカーであるc-Fosの発現により調べた。マウスに電気刺激を与えた後、脳の切片を作製し、c-Fos抗体で蛍光免疫染色を行った。海馬のCA1,CA3,歯状回におけるc-Fos陽性細胞数を測定したところ、APC1638Tマウスでは野生型と比べて、CA1と歯状回におけるc-Fos陽性細胞数が有意に少なかった。このことから、APC1638Tマウスの海馬のCA1と歯状回における神経細胞の活動は低下している考えられる。 (3)電気生理学的手法によって、海馬ニューロンのシナプス機能を解析したところ、APC1638Tマウスではシナプス促通(PPF)がやや低下し、post tetanic potentiation(PTP)は明らかに低下していた。LTPの低下も認められた。この結果から、APC1638Tマウスの海馬ニューロンは全体的に機能低下があり、マイルドではあるが、短期・長期可塑性の障害があると思われた。PTPの低下から、シナプス機能の異常がある可能性が高い。 2.次に、APC1638Tマウスの成長遅延の原因を探る目的で、甲状腺の構造と機能を調べ、次の結果を得た。 (1)APC1638Tマウスでは血中甲状腺ホルモン値は正常であった。 (2)APC1638Tマウスでは甲状腺が小さかったが、甲状腺濾胞の径は大きかった。 (3)APC1638TマウスをTSHで刺激した際の血中T4の上昇は、野生型マウスよりも顕著であった。また、TSH刺激による甲状腺濾胞径の減少は、野生型よりも顕著であった。 (4)APC1638Tマウス甲状腺濾胞上皮細胞では、粗面小胞体の顕著な拡大が見られた。
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