研究概要 |
本研究では、心筋ミトコンドリア内Caを制御するミトコンドリアNa/Ca交換(NCX)の定量的機能解析と、ミトコンドリアと心筋細胞興奮・収縮連関の詳細かつ定量的なコンピュータシミュレーション解析を行い、マトリックスイオン濃度制御と心筋エネルギー代謝制御におけるミトコンドリアNCXの役割解明を目的とする。H20年度は、1.既に開発したミトコンドリア酸化的リン酸化過程のコンピュータモデルに、Caユニポータ、Kユニポータ、NCX,Na/H交換,K/H交換を追加し、マトリックス内のCa,Na,K濃度変化をよく再現出来るモデルへと改良した。2.心筋細胞活動電位と収縮の頻度依存性に関与する重要な因子の一つであるCa/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIの詳細な数理モデルを完成し論文発表した。3.イソプロテレノール持続投与で誘発されるラット心肥大の初期段階において、心筋酸素消費量の増加は、発現量の増加を伴わない細胞膜NCXの機能的活性化に主に起因することを見出し論文発表した。これらの新しい知見を用いて、より正確な心筋エネルギー代謝シミュレーションを実施することが可能となった。4.新規カルシウム指示タンパク質を培養細胞(A20細胞)にトランスフェクションし、細胞内Ca変化を検知出来るかどうか試したが、種々の試薬に対する細胞内Ca濃度上昇を検出することは出来なかった。
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