研究課題/領域番号 |
20390064
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
椛 秀人 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50136371)
|
研究分担者 |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (10194490)
谷口 睦男 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10304677)
|
キーワード | フェロモン / 副嗅球 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / KCNQチャネル / オキシトシン / 嗅球 / 長期増強 |
研究概要 |
雌マウスにおける交配雄フェロモンの記憶形成に関わる副嗅球は前脳基底部からのコリン作動性ニューロンの投射を受けている。副嗅球の僧帽細胞一顆粒細胞間のシナプス伝達に対するコリン作動薬カルバコールの影響をホールセルパッチクランプ記録法により検討した。カルバコールは僧帽細胞から記録される微小IPSCsの頻度を増加させた。この作用は、ムスカリン受容体タイプ1(M1)+タイプ4(M4)アンタゴニストpirezepineで減弱したが、M3アンタゴニスト4-DAMPでもM2+M4アンタゴニストhimbacineでも減弱しなかった。KCNQチャネル開口薬retigabineはカルバコールの作用を阻止した。以上の結果は、カルバコールがM1受容体の活性化を介してKCNQチャネルを閉じることによって顆粒細胞を脱分極させ、引いてはGABAの放出確立を増大させることを示唆している。 処女雌ラットは子どもの匂いをいやがり、これを避ける。われわれはすでに、分娩時の産道刺激によって脳室にオキシトシン(OT)が放出され、嗅球に達して子の匂いシグナルを嗅球のレベルで抑制し、引いては母性行動の速やかな開始へと導くことを明らかにしていた。しかし、in vitroの実験においてOTは嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達を促進することから、OTによる母性行動の発現はOTによるシナプス可塑性誘導の結果ではないかと考えた。そこで、嗅球スライス標本を用いて、これを検証するための電気生理学的解析を行ったところ、OTは嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達における長期増強の誘導を促進することが判明した。
|