本年度は以下の研究を遂行し、研究実績を得た。 (1)マウスの給餌時間を1日2回に設定し、「朝ごはん」と「晩ごはん」と位置づけたとき、それを1日の中でどこに設定するか(朝ごはんと晩ごはん、昼ごはんと夜食ごはん)などを行い、視交差上核の時刻信号と食餌信号の関係をマウスの肝臓の時計遺伝子発現で明らかにする。実際にはPer2:: luciferaseなどレポーター遺伝子を組み込んだノックインマウスを用い、このような給餌スケジュールの後、肝臓などの末梢臓器の切片を作成し時計遺伝子発現リズムを4-5日間記録する。通常は主時計の支配下にある朝ごはんに相当する時刻の給餌が肝臓の時計遺伝子発現をリセットすることを見出す。その結果、1日を2食に設定した場合、肝臓の時計遺伝子発現リズムピークは中間値を示すことがわかった。さらに、朝ご飯と晩ご飯の比率を変えると、比率依存的にピークの位相が引っ張られることがわかった。 (2)主時計の視交差上核を破壊し、その後16時間と8時間の間隔を置いて1日2回の2時間の給餌を行なう。この場合朝夜の概念がなくなるが、絶食の時間を長く空けて得た食餌を朝食と定義すると、同量の餌を朝・夕と与えていた場合、朝食の時間に位相が移動した。このことから、朝食(ブレイクファスト)の意味が見いだせた。すなわち長い絶食後に得る餌に同調しやすいことがわかった。 (3)ブレイクファストの条件が確立したので、次に餌の成分を検討するために、配合飼料の成分を考慮し、炭水化物(糖を含む)、タンパク質、脂肪などの作用のプロフィルを明らかにした。まず今年度は100%コーンスターチ、100%カゼインタンパク質、100%大豆油を試した。その結果、コーンスターチは餌と同等作用がみられたが、カゼインでは全く作用がでず、油では弱い作用が認められ、コーンスターチの重要性がわかった。
|