研究概要 |
早寝早起き朝ごはん」という標語に代表されるように、朝ごはんは生活リズムを整えるために重要な習慣である。しかしながら、科学的根拠を聞かれるとそのサイエンスとしての答えはほとんど出せないし、「遅寝遅起き晩ごはん」がダメな理由はなにかと聞かれると、これも答えに窮する。本研究は「朝ごはん=ブレイクファスト(絶食を破る)」のサイエンスとしての位置づけをマウスの体内時計の観点から、分子生物学的、行動生理学的に調べることを研究目的とする。ブレイクファストは時刻情報としての重要性とともに、栄養生理学的な観点からも追求していく。本年度はインビボイメージングにより、食事回数と食事間隔が末梢体内時計の位相に及ぼす影響について調べた。まず、1日1回の食事を昼間と夜間にそれぞれ施すグループを作成した。その結果、肝臓、腎臓、顎下腺のPer2遺伝子発現リズムの位相はそれぞれ、昼間と夜間にあり、食事性の同調が観察された。次に、1日6,4,2,回と複数回の食事を等間隔に与えると、末梢時計のPer2遺伝子発現の位相には影響しないことがわかった。つまり、食事を均等にとった場合には、体内時計の同調効果は弱いことが分かった。次に1日3回の食事を等間隔で与えた。3回の食事の内、2回は昼間に相当する場合と、2回が夜間に相当する場合で与えることが可能となる。しかしながら、いずれの与え方でも、末梢時計の遺伝子発現リズムの位相は同じであった。次に、餌の投与間隔を変えることにより、昼間に3回、夜間に3回与える食事パターンを行ったところ、1日1回の食事パターンに類似することが分かった。つまり、末梢の体内時計の位相はまとまった食事の時刻に同調することが分かった。言葉を変えれば、末梢体内時計の同調には長く絶食した後の食餌(朝食効果)が重要であることが分かった。
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