神経伝達物質遊離が、脱分極に伴うCa^<2+>流入とは別に、GqPCRの活性化による細胞内Ca^<2+>濃度上昇によっても惹起されるか否か、PC12細胞を用いて検討した。検討するGqPCRには、代表的α_1アドレナリン受容体であるα_<1A>サブタイプを選び、PC12細胞に安定的に発現させ、methoxamine刺激による細胞内Ca^<2+>濃度変化と内在性dopamineの遊離を測定した。methoxamineは、α_1アドレナリン受容体を発現させたPC12細胞においてのみ、濃度に依存した細胞内Ca^<2+>濃度上昇を引き起こした。そして、このCa^<2+>濃度変化はdopamine遊離量とよく相関した。これらCa^<2+>反応及びdopamine遊離は、tetrodotoxin、膜電位依存性Caチャネル遮断薬で抑制されなかった。外液Ca^<2+>を除去すると、初期の細胞内Ca^<2+>濃度上昇とdopamine遊離は観察されたが、それに続く後期の細胞内Ca^<2+>濃度上昇とdopamine遊離は著しく抑制された。また、後期のCa^<2+>とdopamine遊離反応はいずれも、snapinの過剰発現で増強され、TRPCのノックダウンで減少した。以上の結果から、GqPCRの活性化による細胞内Ca^<2+>濃度上昇には細胞内ストアからのCa^<2+>遊離と細胞外からのCa^<2+>流入の2種類があり、いずれのCa^<2+>も神経伝達物質遊離を惹起することを培養細胞レベルで明らかにした。
|