研究課題
アルツハイマー病(AD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象疾患とし、1)神経細胞死機序解明の基礎研究と2)内在性神経細胞死抑制因子の基礎研究/前臨床試験研究の3年目を行った。1. TGFβ2説におけるPS1/PS2の役割の検討 TGFβ2/APP/JNKシグナル伝達系およびmutant PS1やPS2によって引き起こされる細胞死経路を結びつけるキー分子がMOCAであることをより生理的な神経細胞である初代培養細胞で確認した。2. ヒューマニン(HN)様分子EHの機能解析 HNと類似の活性を示す分子EHはヒト血漿中を回っていて、recombinant EHを腹腔内投与すると血液の約1/100の濃度になるように髄液中に移行することを示した。またEHの主な発現細胞が皮膚細胞であることを示した。これらの結果を総合すると末梢で産生されたEHはBBBを通じて十分CNS内に移行し機能を果たしているAD抑制因子であると考えられる。3. ALS発症機序解明研究 TDP-43の強制発現によりBimおよびCHOPの上昇とBcl-xLの低下を伴う神経細胞死が誘導されることを示した。また、家族性ALSの原因遺伝子P56S-VAPBがこの細胞死を促進することを見いだした。これらの発見はALS発症におけるTDP-43の重要な役割の一端を明らかにしたことになる。また、我々が発見したAKT3結合因子BTBD10のC.elegansホモローグをノックアウトするとC.elgansに運動機能異常が起こること、またBTBD10はFUSやSOD1の強制発現により発現が低下することを示した。この発見は、BTBD10が重要なALSの発症メカニズムに関係していることを意味する。
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