研究課題/領域番号 |
20390078
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
宮本 薫 福井大学, 医学部, 教授 (30125877)
|
研究分担者 |
水谷 哲也 福井大学, 医学部, 講師 (90322734)
矢澤 隆志 福井大学, 医学部, 助教 (00334813)
|
キーワード | SF-1 / 転写複合体 / クロマチン構造 / 分化誘導 |
研究概要 |
私どもは間葉系幹細胞に転写因子SF-1を導入しcAMPで刺激することで様々なステロイドホルモン産生細胞へ分化誘導することに成功している。これは、先天性ステロイドホルモン欠損症に対する再生医療の開発につながる成果である。一方、幹細胞がどのような過程を経てステロイドホルモン産生細胞へと分化するかに関する分子基盤は全く不明である。特にDNA配列の変化を伴わない染色体のエピジェネティックな変化が、その鍵を握っていると予想される。転写因子はその認識配列を有するDNA上に結合して、転写複合体を形成するが、SF-1に関してそのDNA認識配列は明らかになっているものの、転写活性化の際に形成される転写複合体に関しては、全く不明であり、その単離と、それぞれの構成タンパク質の同定が必須である。 本研究では、私どもが確立したステロイドホルモン産生細胞への分化誘導系を用いて、SF-1による分化誘導過程での細胞内クロマチン構造のダイナミックな変化を分子レベルで解明した。具体的には、SF-1遺伝子導入によるステロイドホルモン産生細胞分化過程でのクロマチン構造変化を、SF-1とクロマチンタンパク質複合体の単離精製・同定することで明らかにした。20種類をこえる核内SF-1転写複合体構成タンパク質の同定に成功した。これらの中にはクロマチンリモデリングに関連した因子や転写共役因子等がふくまれ、ステロイドホルモン産生細胞への分化メカニズムを明らかにする上で、貴重な新情報を得ることができた。
|