研究課題/領域番号 |
20390081
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉川 潮 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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研究分担者 |
鎌田 真司 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 准教授 (20243214)
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キーワード | シグナル伝達 / mTOR / 栄養 / ホスファターゼ / ラパマイシン |
研究概要 |
栄養物はエネルギー源や構成材料であるのみならず、シグナル伝達経路を介して細胞機能を調節していることが明らかとなり、その分子機能の解析が行われている。mTOR(mammalian Target Of Rapamycin)はアミノ酸をシグナル伝達分子として活性化を受けるプロテインキナーゼであり、rapamycinが細胞周期をG1期で停止させることから、G1期における細胞増殖制御に重要な役割を果たすこと推定されているが、G1期以外における機能は明らかではなかった。今回、出芽酵母を用いた解析により、TORがG2/M期の移行に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、シグナル伝達経路におけるタンパク質脱リン酸化反応に焦点をあてた解析により、タンパク質ホスファターゼPP2B(calcineurin)が様々な細胞応答に関与する転写因子c-Junの抑制的制御に関与することを明らかにした。一方、培養細胞から栄養状態に依存してリン酸化が変動するタンパク質の検索を実施し、グルコース欠乏によりリン酸化が亢進するタンパク質としてGBF1を同定した。GBF1は低分子量GTPaseであるARFのグアニンヌクレオチド交換因子であり、小胞体とゴルジ体との間においてARFを活性化し小胞形成を促進することによりゴルジ体の形態維持に関与することが報告されている。本検討によりGBF1のリン酸化部位ならびにそのリン酸化を担う酵素としてAMPK(AMP-activated protein kinase)を同定するとともに、栄養欠乏により誘導されるゴルジ体の形態変化にAMPKによるGBF1のリン酸化が関与していることが示された。今後、同定された基質タンパク質に関する知見に基づき栄養シグナリングにおけるタンパク質脱リン酸化反応の役割について研究を行うことを計画している。
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