ポリコーム群は、ヒストンH3K27をメチル化するタンパク複合体(PRC2)とH2Aをモノユビキチン化するPRC1のふたつの複合体の共同を介して、多くの発生関連遺伝子群に結合し、転写抑制に寄与する。しかしながら、ポリコーム群がどのように標的遺伝子群に結合するのか、そのメカニズムは明らかにされていない。ひとつには、PRC2によって媒介されるヒストンH3K27トリメチル化が、PRC1に含まれるクロモドメインタンパクであるCbx2によって認識されるメカニズムが存在することを明らかにした。これに加えて、PRC1に含まれるE3であるRing1Bの触媒活性を介した経路が存在することを明らかにした。この経路は、Ring1Bのリングフィンガーに結合するMel18とBmi1を介してヌクレオソームに結合することを示した。このふたつの経路がオーバーラップした場所において、ポリコーム群が転写抑制を行うことが明らかになった。Mel18とBmi1を介したクロマチン認識は、ヒストンH3K27トリメチル化を必要としない。PRC1の結合する遺伝子群は、有意に長いCpGアイランドを有していることが示されており、Mel18とBmi1はそれ自体あるいはそこに含まれる特有の配列を認識している可能性が示された。
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