細胞は、酸化ストレスによって惹起されるレドックス代謝制御により、様々な応答を引き起こす。そのひとつとして細胞死(アポトーシス)誘導があり、これまでの研究から、アポトーシスを制御するいくつかのキナーゼ群は細胞質から細胞核に移行すること、そして核に存在する細胞死関連因子をリン酸化することでアポトーシスを誘導することを見出した。さらにこの核移行を阻害するとアポトーシスが抑えられることから、これらキナーゼ群の核移行がアポトーシス誘導の本質であるという今までにない全く新しいモデルを提唱している。本研究では、この核移行が酸化ストレスで惹起されるアポトーシスの本質であるメカニズムの詳細を明らかにすることを通してレドックス代謝制御機構を理解し、その破綻ががんを始めとする酸化ストレス関連疾患とどのように関わっているかに迫り、さらにその知見を機軸とした診断と治療への応用の可能性を追求した。
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