研究課題
これまでにプロテオグリカン上のケラタン硫酸(KS)の合成酵素阻害で軸索再生・分枝が促進され、脊髄損傷で野生型マウスに比べて回復がよいことを示した。さらに、KS分解酵素の投与によっても脊髄損傷後の神経機能回復を促進できることを示すことができた。In vitroの実験では、(1)KS単独では神経突起伸長阻害が起きないことを示した。同様に強力な阻害因子として知られるコンドロイチン硫酸(CS)単独でも神経突起伸長阻害は起きない。(2)KS、CSの両方を含むプロテオグリカンの混合物によって神経突起伸長阻害が起こるが、KS分解単独あるいはCS分解単独でその阻害効果をキャンセルできる。また、両者の組み合わせは相加・相乗効果を発揮しないことを明らかにした。(3)コアタンパク質の熱変性、あるいはアルブミンの上にKS,CSを共有結合させた人工プロテオグリカンでは神経突起伸長阻害は起きないことを示した。(4)コアタンパク質、KS、CSの揃ったプロテオグリカンとなって初めて神経突起伸長阻害活性を示すことから、コアタンパク質によるKS、CSの適切なプレゼンテーションが重要であると推察した。これらの結果はin vivoのデータとも一致する。しかし特にコアタンパク質の重要性を示すin vivoのデータはなかった。そこでADAMTS4に注月した。この酵素はアグリカンなどのプロテオグリカンのコアタンパク質を特異的に切断する活性を有する。今回新たにニューロカン、ブレビカン、フォスファカンといってプロテオグリカンを分解することを示せた。さらにこの酵素を脊髄損傷部に局所投与すると神経機能回復が促され、軸索再生・分枝も促進されることを見出した。以上により、プロテオグリカンによる軸索再生・分枝阻害機構の一部を明らかにすることができた。
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