本年度は以下の研究を行った。(1)知能指数IQの差が顕著な不一致一卵性双生児を用いた解析:昨年度に引き続き、新たなIQ不一致一卵性双生児11組の網羅的遺伝子発現・DNAメチル化解析を行った。リンパ芽球からRNAを抽出し、Affymetrix GeneChip Human Gene 1.0ST Arrayと、Partek Genomics Suiteデータ解析ソフトウェアを用いた遺伝子発現プロファイリング解析を行っている。現在のところ新たな不一致一卵性双生児にて兄弟間で有意に発現の変動が見られる遺伝子は同定できていない。また、リンパ球由来DNAを用いて網羅的DNAメチル化解析を行なった。解析には、Affymetrix GeneChip Human Promoter 1.0R ArrayとModel based Analysis of Tiling-arrays (MAT)データ解析ソフトウェアを用い、兄弟間のメチル化状態に顕著な違いが見られる領域を候補メチル化領域として抽出した。これらの領域のメチル化状態をより定量的なbisulfite genomic sequencingで確認した。現在のところ、いくつかの遺伝子が同定されている。そのうちの1遺伝子については、すでにコンディショナルノックアウトマウス作製用のES細胞がバンクに登録されており、当該マウス作成を計画している。(2)マウスの行動解析による得点化と遺伝子発現解析:すでに得られているマウス41匹の行動解析データを主成分分析したところ、寄与率は予想よりも小さいが、g因子と考えられる成分が抽出された。これらマウスの海馬由来のRNAを抽出し、Affymetrix GeneChip Mouse Genome 430 2.0 Arrayを用いて遺伝子発現データを得た。
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