研究概要 |
肺癌は本邦における悪性腫瘍の死亡数の第1位を占め、外科治療・化学療法の発達にもかかわらず、肺癌患者の5年生存率は未だ15%程度と予後不良である。このような難治性の癌に対する治療戦略として、近年、癌の増殖、浸潤、転移など悪性形質の分子レベルの理解に基づいた「分子標的療法」が大きな潮流となっている。肺癌の分子標的としては、上皮成長因子受容体(以下EGFR)阻害剤が一定の効果をあげ現在注目されている。しかしEGFR阻害剤に反応する症例は非小細胞肺癌の40-50%までであり、特に上皮間葉転換(EMT,epithelial-mesenchymal transition)形質を示す症例はEGFR阻害剤に抵抗性を示すことが明らかとなっている。本研究では、このように未だ治療戦略のみえていない上皮間葉転換形質を示す非小細胞肺癌を研究対象とし、その分子標的を明らかにするとともに、今後の診断・治療戦略を立てる道筋をつけることを目的としている。
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