研究概要 |
癌遺伝子であるALKの転座(EML4-ALK融合遺伝子)により発がんしていると考えられる肺癌5例(腺癌4例、扁平上皮癌1例)が報告された。我々は12例のALK転座肺癌を見出した。非常に興味深いことに、当部からの症例12例のいずれにも、EGFR変異、ras変異、c-met異常を持つ症例がなかった。このことは、ALK転座は、EGFR変異、ras変異、c-met異常と相互に排他的であることを示しており、肺癌がキナーゼ系遺伝子の変異により相互に排他的な亜型に分類される可能性を示唆している。 上記の事実を背景として、本研究では、キナーゼ系癌遺伝子の変異により肺腺癌を分類できる可能性を検討してきた。これまでのところ、K-ras変異、EGFR変異を持つALK肺癌は見られず、特徴的癌遺伝子による肺腺癌の分類が可能であることが確かめられつつある. ALK転座肺癌は,最初の3例は,喫煙者に見つかったが,その後,非喫煙者でも多く発見されている.p53変異パターンの検索から,原因が推定されるので結果が注目される.これまでのところ、非喫煙者ないし軽度喫煙者が多い。 さらに,ALK転座肺癌,代表的なras変異肺癌,EGFR変異肺癌,c-met異常肺癌において,RTK下流因子(すなわちPI3K/AKT系,ras/MAPK系およびSTAT3系の各下流因子)の発現を,遺伝子は定量的RT-PCR,タンパクは免疫染色とWestern法により,それぞれ検索している.
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