研究概要 |
IL-17は,IL-23刺激下にNKT細胞からも産生され,自己免疫疾患の進展に影響を与え得る.我々は,prostaglandin E_2(PGE_2)存在下に分化させた樹状細胞(DC)はリポ多糖(LPS)刺激により,ERK経路のシグナルの減弱を伴って,IL-23産生が対照群に対して減少することを見いだした(Immunology in press).またERK経路の阻害剤U0126存在下でLPS刺激した場合,対照群に対してIL-12が増加,IL-23が減少した.すなわち,DCを介したNKT細胞からのIL-17産生を減少させる新規の方法が開発された(昨年度実施計画2).また,NKT細胞と疾患の関わりでは,type II NKT細胞が食事誘導性肥満(DIO)を誘導することを明らかにした(manuscript in preparation).NKT細胞を介したマクロファージ・抗原提示細胞の活性化が肥満の進行に関わっていると考えられた.さらに,CD1d拘束性NKT細胞は,我々の研究から動脈硬化症の悪化に関わることが示されているが,新規NKT細胞亜群であるMR1拘束性NKT細胞は,抗動脈硬化性に機能することを新たに明らかにした(manuscript in preparation).MR1拘束性NKT細胞の欠損により,CD1d拘束性NKT細胞からのα-galactosylceramideによるIL-10産生も強く抑制されていることが判明したが,このメカニズムについては特にDC機能や共刺激分子発現との関わりから引き続き追究する予定である(昨年度実施計画3).昨年度実施計画1のネガティブフィードバック機構に関与する表面分子の同定についても引き続き追究する.
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