1、SLC5A8・CDX・短鎖脂肪酸の相互作用の解析 家族性大腸腺腫症のマウスモデルで腺腫を自然発症するApcΔ716マウス、及び過誤腫を発症するCdx2ヘテロ接合変異マウスの大腸腫瘍におけるSLC5A8の発現をqRT-PCR、Western blot、免疫組織化学により解析したところ、いずれの腫瘍においてもSLC5A8の発現が正常部位に比べて有意に低下していた。この結果は、CDX2の発現低下に伴うSLC5A8の発現低下が大腸の腫瘍発生に寄与する可能性を示唆する。 2、PLEKHG1の発現及び機能の解析 3xFlag-PLEKHG1を強制発現させた細胞の抽出液から3xFlag-PLEKHG1を免疫沈降し、共沈してくるタンパクを質量分析で解析することにより、PLEKHG1結合タンパクとして14-3-3ζ/δ/εを同定した。これら14-3-3とPLEKHG1との結合を免疫沈降/ウェスタンブロット法で確認し、更にPLEKHG1に欠失変異、アミノ酸置換を導入することにより、両者の結合がPLEKHG1の611番目のセリン残基のリン酸化に依存することを見出した。また、Plekhglのコンディショナル・ターゲティング・ベクターをマウスES細胞株に導入し、相同組換えを起こしたクローンを複数確立した。それらの中から正常な核型を持つクローンを選択後、発生工学研究会に委託してキメラマウスを作出した。それらのマウスを京都大学医学研究科動物実験施設に導入し、C57BL6マウスと交配させ、生殖細胞系列へのトランスミッションに成功した。更に、CAG-creマウスとの交配によってPlekhg1のヘテロ接合ノックアウトマウスを、flippase発現マウスとの交配によってPlekhg1のfloxアレルを持つマウスをそれぞれ作出し、それらが設計した通りのgenotypeになっていることを確認した。
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