1. Plekhg1ノックアウトマウスの解析 Plekhg1^<flox/+>マウスとCAG-creトランスジェニックマウスとの交配によって得られたPlekhg1ヘテロ接合ノックアウトマウス同士を交配したところ、野生型、ヘテロ接合ノックアウトマウス、ホモ接合ノックアウトマウスがほぼ1:2:1の確率で産まれ、Plekhg1のホモ接合変異が胎生致死ではないことが分かった。さらにPlekhg1ヘテロ接合変異マウスと家族性大腸腺腫症のモデルであるApc^<Δ716>マウスとの複合変異マウスでは、Apc単独変異マウスと比較して大腸腺腫の数、サイズともに増加する傾向を示した。この結果から、Plekhg1が腸管腫瘍形成に関与する可能性が示唆された。 2. ヒト大腸癌細胞株でのPLEKHG1ノックダウン PLEKHG1の機能を解明するため、レンチウイルスベクターを用いてshRNAによりHCT116大腸癌細胞株でPLEKHG1をノックダウンしたところ、対照細胞と比較して細胞間の接着が疎になっていた。また、蛍光抗体法によりE-cadherinの局在を調べたところ、PLEKHG1をノックダウンした細胞では細胞表面に局在するE-cadherinの量が減少していた。CDX2、CDX1はE-cadherinを介して大腸癌細胞の細胞間接着を亢進させることが報告されているが、その機序は不明である。この結果から、CDXによる細胞間接着の制御にPLEKHG1が寄与する可能性が示唆された。
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