研究課題
赤痢アメーバ症はマラリアに次いで死亡者数の多い原虫性感染症であり、発展途上国だけでなく、わが国でも知的障害者などに濃厚な感染を起こしている。本研究では赤痢アメーバの生存と寄生・病原に必須なシステインプロテアーゼ(CP)の輸送ならびに活性調節機構を、生化学的・細胞化学的・逆遺伝学的手法を駆使し解明するとともに、トランスクリプトーム・プロテオームなどの"-omics"手法を応用した統合的アプローチにより多様なCP遺伝子群の機能的特異性を解明することを目的とする赤痢アメーバはゲノムに>40ものCP遺伝子をもち、腸管上皮や肝細胞などの傷害、免疫細胞の貪食・分解による免疫回避、細菌などの貪食・分解による栄養摂取などに関与するとされているが、それぞれのCPの機能的相違・特異性ほとんど理解されていない。また、CPの細胞内での輸送機構、活性の調節機構などの分子基盤は十分に理解されていない。本年度は、CP輸送体(CPBF1)の機能解析を行い、赤痢アメーバの細胞内におけるリソソームやファゴソームへのCPの輸送に、CPBF1が必須であることが示された。更に、CPの内因性阻害タンパク質ICPの立体構造を解明するために、結晶化の至適条件を確立した。また、ヘビアメーバの嚢子化過程で発現の変動するCPに関して、詳細なプロファイリングを行い、ステージ特異的CPの注釈付けを完了した。
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