研究課題
1.三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)によって引き起こされる三日熱マラリアは、世界で毎年約8千万人が感染している。原虫の培養法が未確立なこともありP.vivaxの研究は遅れている。本研究ではP.vivaxに系統進化的に最も近縁なマカクサルマラリア原虫P.cynomolgiのゲノムを超高速シーケンシング法により解読し、ゲノム比較から、P.vivaxゲノムに独自な特徴、ヒト寄生化の遺伝的基盤を解明することを目指している。2. P. vivaxがマカクサルに感染しないかどうかを調べた。P. vivax Sal-II株の凍結原虫を脾摘ニホンザル(Macaca fuscata)、カニクイザル(M. fasculata)に静注し、感染の成立をPCR診断で見たところ、感染が認められなかった。3.ニホンザル(M. fuscata)にP. cynomolgi B株を感染させることに成功し、感染サルから原虫を得た。原虫ゲノムDNAを調製し、超高速シーケンシングシステム(GS FLX法)によって平均リード長250塩基、総塩基107Mb、冗長度約3.7倍、ゲノムの約8割をカバーするシーケンスを得た。4.得られたリード群を阪大微研ゲノム情報解析分野の並列ワークステーションを使用してコンティグを作成し、P. vivax, P. knowlesiのゲノム情報を参照にP. cynomolgiのゲノム地図を作成した。5.リードはP. vivax, P. knowlesiの遺伝子の大部分(約5千個)にマッピングできた。しかし、抗原変異に関与すると考えられているpir遺伝子群(P. vivaxのvir, P. knowlesiのSICAvar, kir)やPv-fam遺伝子群など、多重遺伝子族ではマップされていな箇所もあり、種間における遺伝子の欠失・挿入が示唆された。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Infection, Genetics and Evolution 9
ページ: 248-255
Molecular Biology and Evolution 25
ページ: 2233-2239
Malaria Journal 7
ページ: 174
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/act/act_tanabe.php