研究課題/領域番号 |
20390120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田辺 和裄 大阪大学, 微生物病研究所, 特任教授 (40047410)
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研究分担者 |
安永 照雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20260630)
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
早川 敏之 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教 (80418681)
澤井 裕美 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (60377124)
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キーワード | ゲノム解読 / Plasmodium cynomolgi / Plasmodium vivax / 三日熱マラリア原虫 / 比較ゲノム解析 / マラリア / サルマラリア原虫 / 進化 |
研究概要 |
【目的】三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)によって引き起こされる三日熱マラリアは、世界で毎年約8千万人が感染している。本研究ではP. vivaxと系統進化的に最も近縁な旧世界サルマラリア原虫P. cynomolgiのゲノムを超高速シーケンシング法により解読し、比較ゲノム解析から、P. vivaxゲノムに特徴的なゲノム変化を解明し、ヒト寄生化の遺伝的基盤を探ることを目的としている。 【結果】 1.昨年に続き、P. vivaxがマカクサルに感染するかどうか調べた。P. vivax6株の凍結原虫を脾摘ニホンザル(Macaca fuscata)、カニクイザル(M. fasculata)に静注し、感染の成立をPCR診断で見た。結果、感染は認められなかった。また、サルの赤血球Duffy抗原の抗体反応性も調べた。 2. 昨年度得た次世代シーケンサーFLXによるリード群を各種プログラムを使用して結合し、コンティグ群を作成した。同時にフォスミドライブラリーの作成、及び、PCRによってコンティグ群を結合し、15本の長大スカホールドの作成に成功し、予想ゲノムの約80%以上を構築した。 3. 別の次世代シーケンサーであるイルミナGAIIによってもシーケンシングを実施し、平均リード長75bp、5000万リードのシーケンスを得た。これによってFLXによるシーケンスエラーの修正が可能となった。 4. 2008年10月に発表されてたP. vivax及び、P. knowlesiのゲノム情報と本研究で得たP. cynomolgiのゲノム情報を用いて比較ゲノム解析を行い、3種のマラリア原虫に共通する遺伝子、種固有な遺伝子を分類した。種固有な遺伝子には多重遺伝子族が約9割含まれることが明らかとなった。なかでもマラリア原虫の赤血球結合に関与するDuffy結合タンパク遺伝子の数がP. vivax, P. cynomlgi, P. knowlesiでそれぞれ1個、2個、2-3個と違っていることが判明した。
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