研究概要 |
本年度の研究では 1. SECおよびTSST-1遺伝子ノックアウト菌株作製 : SECまたはTSST-1遺伝子を持ち, かつ毒素を産生する菌株を用い, シャットルカセットベクターを設計・構築し, スーパー抗原毒素遺伝子をそれぞれノックアウトしたisogenic mutant株を作製した. 2. SECおよびTSST-1遺伝子ノックアウト株の病原性の比較検討 : 遺伝子ノックアウト菌株と野生株をそれぞれマウスに全身感染させ, 感染マウスの生存率, 臓器中の生菌数などについて比較検討した. TSST-1遺伝子ノックアウト菌株は野生型より病原性が顕著に低下することを明らかにした. 3. Recombinant ClfAの作製・精製 : これらの遺伝を発現ベクターpGEX-6p-1にクローニングし, GST fusion protein systemによりClfAタンパク発現系を構築し, これらの組換えタンパクをlarge scaleにより大量精製した. また, 精製したClfAをマウスに免疫し, 黄色ブドウ球菌感染に対する防御効果とメカニズムを検討した. ClfAの免疫が黄色ブドウ球菌感染に対し防御効果において, IL-17が重要であることを見出した. 4. SEAの嘔吐・下痢誘導活性と分子機序の解明 : mSEAおよびSEAをスンクスに経口あるいは腹腔内投与し, mSEAとSEAの嘔吐活性とスーパー抗原活性を比較検討し, SEAのこの二つの活性部位が完全一致でないことを明らかにした.
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