研究概要 |
1.ブドウ球菌エンテロトキシンC(SEC)およびToxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)遺伝子ノックアウト株の病原性をin vivoおよびin vitroでの比較検討:遺伝子ノックアウト菌株と野生株をそれぞれマウスに全身感染させ,TSST-1ノックアウト菌株は野生株より病原性が顕著に低下したことを明らかにした.また,マクロファージなど培養細胞において,遺伝子ノックアウト菌株と野生株が感染後のファーゴサイトシスなど病原性の違いを見出した.現在,その病原機構をさらに解析中である. 2.Recombinant febronectin binding protein A(FnBPA)の黄色ブドウ球菌感染に対する防御効果とそのメカニズムの検討:昨年度のclumping factor A(ClfA)に続いて,本年度では発現ベクターpET-15bと大腸菌発現系によりFnBPAを大量作製・精製した.FnBPAをマウスに免疫し,黄色ブドウ球菌感染に対する防御効果があることを明らかにした. 3.SEA,SEC,TSST-1の嘔吐・下痢誘導活性のin vivoでの:本年度ではスンクスの腸管結紮ループ実験モデルを確立した.また,スンクスおよびウサギ腸管結紮ループにSEA,SEC,TSST-1などをそれぞれ注射し,下痢誘導活性を検討した.SEAおよびSECは嘔吐活性を有するが,下痢誘導活性を示さないことを明らかにした. 4.エンテロトキシンの刺激による各種細胞におけるシグナル伝達:エンテロトキシンのヒト腸管上皮細胞および神経細胞との結合性を免疫蛍光染色により明らかにした.さらにエンテロトキシンの刺激による神経細胞内シグナル変化についてマイクロアレーを行った.現在,刺激により増減した分子とその意義を解析中である.
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