研究概要 |
炭疽菌とセレウス菌はBacillus属の人病原性がある種であるが、前者炭疽を起こし、致死的疾患に反転するが、後者は多くは食中毒を起こす。この2菌種は系統的にきわめて類似し、16S rRNAではほぼ同じ配列を共有しているため、この遺伝子では識別できない。我々は多型遺伝子であるdnaJを臨床分離株で比較したところ、セレウス菌はdnaJの多くの株のdnaJの幅が広いが、炭疽菌はセレウス菌の特定の多型グループに属するきわめて多型幅が狭い菌株から構成されていることが分かった。この分類学的に隣接したに2菌種はdnaJ,ITS領域でも明確に識別できないことから、分類学的に同一菌種であるが、臨床的には病原性の炭疽菌とセレウス菌は識別する必要がある。炭疽菌は浮腫因子、致死因子、防御抗原の3つの因子を検出すれば病原性株が決定できる。一方セレウス菌は嘔吐毒因子の保有株は少ないが非溶血性腸管読破解析した40株のすべてが保有していた。この毒素はさらにB.anthracis、B.thuringens、B.mycoides菌など類縁菌でも保有してる株があったため、dnaJ遺伝子と嘔吐毒の組み合わせで確定することができた。これらの情報からB.cereus, B.anthracis, B.thuringens, B.mycoides, B.wihenstephanensisを同一菌種に再分類し、各々の菌種を病原型として識別する再分類法方法を提案する予定である。
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