研究概要 |
(1) 炭疽菌とセレウス菌の野生株の遺伝子多型を全ゲノムワイドに情報を収集した。その結果、炭疽菌は高度にモノクローンであるのに対しセレウス菌は炭疽菌に近いものからB.thuringiensisに近いものまで多型が分布し,複数の種から形成されると判断した。また、人臨床から分離されるセレウス菌に炭疽菌に極めて近い株が存在することが判明した。 (2) 野兎病菌には3つの亜種が存在し,日本株はF.tularensis subsp. holarcticaとみなされてきた。基準株の全ゲノム情報の中から200種類の遺伝子を比較し、日本株はF.tularensis subsp. holarcticaの生物型亜系として位置することが判明した。 (3) Shigella属の菌種が系統的に大腸歯と同等であることを類縁菌を含めた全ゲノム情報を蓄積し、比較した。E.albertii, E.fergusonii、E.vulneris、E.hermanii、E.blattaeの全ゲノム配列を決定し、各菌種に保存されている、全ゲノム配列を比較し、その多型の大きさを200種類の遺伝子で計測した。その結果、E.ablertii, E.fergusoniiの遺伝子多型はEscherichia属内の菌種でに収まることが系統的にうらずけられた。E.vulneris、E.hermanii、E.blattaeの3つの菌種はEscherichia属とは系統的に大きく離れており、独立した属として再分類すべき菌種であることがわかった。一方、Shigella属の4菌種の遺伝子多型は小さく、大腸菌と同じ系統に分類きれるべきであることが実証された。 上記の結果を国際微生物連盟(IUMS)の総会で発表する(2011年9月)
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