研究課題
Helicobactor pyloriはヒトの胃の粘膜に感染し、慢性萎縮性胃炎や胃潰瘍、ひいては胃ガンを引き起こす癌原性細菌である。H.pyloriは、その感染初期には胃組織内には浸潤しない。このことから、胃粘膜上皮細胞が、H.pyloriの慢性感染に重要な役割を果たすと予想される。この慢性感染に関わる宿主因子を解明する目的で、マウスの感染モデルを用いて検討してきた。特に、胃上皮細胞が発現するサイトカインの役割に照準を合わせた。Interleukin-33はアレルギー応答に関わる可能性が高いサイトカインで、腸管寄生性蠕虫の感染時に、腸管上皮内で発現上昇することが知られている。しかし、IL-33の胃における発現あるいは、その細胞内局在は不明である。既に、I133をHEK293細胞に強制発現すると、IL-33タンパクは細胞質ではなく核内に局在することを明らかにした。そこで、マウスの胃における、IL-33発現細胞の同定と、IL-33の細胞内局在を明らかにする目的で、胃凍結切片を用いて共焦点レーザー顕微鏡で、またIL-33mRNAをリアルタイムRT-PCRを用いて検討した。その結果、野生型マウスの胃は恒常的にIL-33mRNAを発現し、特に、胃粘膜上皮細胞核における恒常的なIL-33タンパク発現が明らかとなった。さらに、胃から分離した初代胃上皮細胞はIL-33mRNAを恒常的に発現することも明らかにした。現在、IL-33の受容体(ST2)欠損マウスと野生型マウスにH.pyloriを経口接種し、その慢性感染に、IL-33シグナルが関与するかを検討している。
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