研究課題
予防エイズワクチン開発研究においては、HIV持続感染抑制に結びつく免疫誘導法を樹立することが重要な課題である。これまでの研究で弱毒化生ワクチンについては、安全性確立の見込みはないものの、サルエイズモデルでの十分な有効性が報告されている。本研究では、生ワクチンによる持統感染抑制機序を明らかにすることを目的として、サル免疫不全ウイルス(SIV)感染サルエイズモデルにおいて、私どもの考案した限局複製型生ワクチンのSIV複製抑制効果を解析する実験を進めた。本研究の限局複製型生ワクチンは、SIV分子クローンDNAのenv領域を、ヒト細胞にレセプターを有しないフレンドマウス白血病ウイルス(FMLV)env遺伝子に組換えたFMSIV DNAと、FMLVレセプター発現DNAとを共接種するもので、FMLVレセプター発現DNAが取り込まれた細胞に限局したFMSIVの複製を期待するものである。平成21年度は、昨年度にこのワクチン接種を行ったアカゲサル4頭と非ワクチン接種サル2頭にSIVmac239をチャレンジ(静注)した。非ワクチン接種サル2頭では、これまでのSIV感染実験と同様に持続感染が成立したが、ワクチン接種サルにおいては、2頭で高い血漿中ウイルス量が維持されたものの、残り2頭の血漿中ウイルス量は比較的低値を示し、そのうちの1頭では約半年で検出限界以下となった。ワクチン接種群の感染急性期のSIV特異的Tリンパ球反応の解析では、ワクチン抗原(Gag・Pol・Vif・Vpx)に特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応が迅速かつ優位に誘導されるという重要な知見が得られた。
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Vaccine (accepted, in press)
J.Virol. 83
ページ: 9339-9346