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HCV複製に関与する宿主因子の解析を通じて、細胞質に存在する油滴量がHCV感染により増加することを見出したが、特にウイルス産生における脂肪の意義を解析した。その結果、感染性ウイルス産生には脂肪の細胞内蓄積の他に脂肪成分が細胞の外に放出される機構が重要であることを見いだした。つまり、肝臓細胞から脂肪成分が放出される際には、トリグリセリドとアポリポ蛋白質の複合体であるvery low density lipoprotein(VLDL)として放出される事が知られている。VLDLの産生を阻害する薬剤でウイルス感染細胞を処理すると細胞外へのVLDLの放出は阻害される。そのときに感染性ウイルス粒子の細胞外への放出を調べると、VLDL産生阻害の程度に応じて産生も低下した。これらのことから、ウイルス粒子産生には、細胞内の脂肪滴そのものに加えて細胞から脂肪を放出する経路が重要である可能性が示された。
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