研究概要 |
セマフォリンファミリーは1990年代初頭から神経ガイダンス因子として同定されてきた分子群であるが、近年、神経再生、血管新生・脈管形成、癌の進行、骨代謝疾患、免疫疾患への関与が明らかとなり、生体の組織構築と恒常性の維持に重要なpleiotropicな作用を有する分子群であることが明らかになるとともに、疾患治療の新たな創薬ターゲットとしても注目されている。申請者はこれまでセマフォリン分子群及びその受容体分子群の免疫系における役割を世界に先駆けて明らかにしてきている(Nature419:629,2002,Nat. Rev. Immunol.3:159,2003,Immunity22:305,2005,Nat Cell Biol.8:545,2006,Nature446:680,2007)。本研究では、セマフォリンの有する多彩な生物活性がセマフォリン受容体Plexin-A1の下流で活性化されるDAP12,Rac, FARP2、MICALといったシグナル伝達分子によって、どのようなシグナルメカニズムで担われているかを解明することを目的としている。本年度の研究ではセマフォリンのシグナルを担うFARP2,MICAL-2欠損マウスを樹立した。今後作成した遺伝子欠損マウスを用いてのシグナル解析、表現系解析を行う予定である。
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