研究課題
これまでの研究成果を踏まえ、申請者は好塩基球が抗原提示能とIL-4産生能の両機能を有する極めて特別なTh2細胞誘導性の抗原提示細胞と考えるに至った。特に、寄生虫感染あるいはアレルギー応答時のTh2細胞の誘導、維持、増強に深く関与する細胞と考えた。そこで平成20年度は、樹状細胞と好塩基球の表面抗原を比較し、専門的抗原提示細胞APCとして機能を発揮する上で不可欠な、MHC class IIとCD80/86を発現することを見いだした。好塩基球として骨髄由来、ナイーブマウス脾細胞由来、腸管寄生虫感染マウス脾細胞由来を調べたが、いずれもMHC class IIを発現していた。次に、いずれの好塩基球を用いても卵白アルブミン(OVA)をペプチド断片化して、OVA特異的T細胞に抗原提示出来ることを見いだした。更に、DNP-OVAと抗DNP特異的1gE抗体の複合体を作り、これを好塩基球の培養に加えると、本細胞がFceR1を上手く利用して1gE複合体を非常に効率よく細胞内に取り込むこと、また同時に好塩基球がIL-4を大量に産生することを見いだした。従って、好塩基球は、外来性にIL-4を添加することなしにTh2/IgE応答を誘導・増強出来ることが明らかとなった。更に、in vitroでOVAをパルスした好塩基球を正常なマウスの静脈内に投与すると、OVA特異的Th2細胞がマウスの脾臓内で誘導されることを見いだした。これまで好塩基球はアレルギー性炎症を誘導する効果細胞と考えられてきたが、我々の研究から本細胞がTh2細胞を誘導する抗原提示細胞として機能することが世界で始めて明らかとなった。
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