研究課題
好塩基球は全顆粒白血球の1%弱を占める少数派細胞である。好中球あるいは好酸球と異なり、好塩基球は細菌あるいは寄生虫が感染しても末梢血中での細胞数が増加することはない。しかし、寄生虫が感染した動物の肝臓や脾臓では、好塩基球の数が著明に増加するとともに、Th2細胞が誘導される。本研究で、好塩基球のTh2細胞の誘導機能を解明することを目的に研究した。S.venezuelensisを感染させたマウスの脾臓から得た好塩基球は、正常マウスの脾臓由来の好塩基球に比して、約10倍以上のIL-4を産生する能力を有していた。次に、両好塩基球のTh2細胞誘導能を比較検討したところ、両好塩基球ともin vitroでは同程度のTh2細胞誘導能を示した。そこで、これらの好塩基球がどの様な機序でTh2細胞を誘導するのか検討した。その結果、好塩基球がin vitroで抗原を取り込んで断片化し表面に提示するとともに、IL-4を産生することが明らかとなった。更に、好塩基球由来のIL-4存在下で好塩基球の表面に提示された抗原ペプチド/MHC class II分子複合体で刺激されたナイーブT細胞がTh2細胞に分化することが明らかとなった。従って、好塩基球がTh2細胞を選択的に誘導する抗原提示細胞であることが明らかとなった。また更に、好塩基球をIL-3存在下でDNP-OVAと培養するとOVAを取り込むこと、更にDNP-OVA/anti-DNP IgE mAb(IgE複合体)と培養すると、OVAの取り込み効率が亢進することが明らかとなった。最後に、DNP-OVA/anti-DNP IgE mAbを正常マウスに投与すると、脾臓内でOVA特異的Th2細胞が誘導されること、そして、その誘導には、まず、好塩基球がDNP-OVA/anti-DNP IgE mAb複合体を取り込み、OVA特異的Th2細胞を誘導することが必須であることが明らかとなった。
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