研究課題
生体内で好塩基球がTh2細胞を選択的に誘導する抗原提示細胞であることを証明することを目的に研究した。方法として無処置マウスと前もって好塩基球を除去したマウスの静脈内にアレルゲン(DNP-OVA)/アレルゲン特異的IgE(抗DNP-IgE)複合体を投与した。無処置マウスの脾臓内にはOVA特異的Th2細胞が誘導された。一方、好塩基球を前もって除去したマウスの脾臓では、OVA特異的Th2細胞は誘導されなかった。この結果から、好塩基球はアレルゲンlgE複合体を取り込むこと、アレルゲンを分断してペプチド断片にすること、これをMHC clas IIに結合してアレルゲン特異的ナイーブT細胞に抗原提示すること、同時にIL-4を産生すること等、が明らかとなった。アレルゲンペプチドとIL-4を提示したため、この細胞がTh2細胞に分化したと考えられた。次に寄生虫感染で誘導されるTh2細胞の誘導に好塩基球が関与するか検討した。無処置マウスにStrongyloides Venezuelensis(Sv)を感染させるとTh2/IgE応答が誘導される。また、好塩基球を除去したマウスにSvを感染させた場合でも、同様にTh2/IgE応答が誘導された。次に、両者の排虫能を比較したところ、無処置マウスはSv感染から2W以内にSvを排除したが、好塩基除去マウスではその排虫が著明に遅延していた。以上の結果から、好塩基球はFcεRIを利用してアレルゲン/IgE複合体を取り込み、アレルゲンペプチドに分断してこれを提示することでアレルゲン特異的Th2細胞を誘導すること、一方、Sv感染に対しては、その排虫を担うことが明らかとなった。今後は好塩基球のSv排除機構を解明したい。
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