研究概要 |
本研究は, 電子タグをはじめとした各種固体認証技術とセンサー技術の組み合わせにより患者や医療機器の状態をリアルタイムに検出・分析するとともに, 無線LAN等の通信技術を利用して病院情報システムとの融合化を図る事で, ユビキタスネット技術が病院内インフラとして医療安全向上へ寄与する事を目的とした研究である. 研究初年度である平成20年度では,試作の3軸加速度センサーおよび無線LANを内蔵したアクティブタグの可用性評価を行なった. 実験は研究代表者の所属する部門内で行なった. 部門内に試作タグで取得した加速度情報を取得できるアクセスポイントを仮設し, 研究代表者および分担者がタグを装着し, 動作検知に十分な時間間隔で3軸の加速度が取得できる事を確認した. ただし, 試作システムでは, どのアクセスポイントでタグからのデータを取得できたかは把握できるが, 3点測位等による正確な位置情報の取得まではできないため, 市販のTDM方式による位置情報取得型のアクティブタグシステムを同部門に設置し, その可用性を合わせて評価し, 医療現場で実用可能な空間解像度で位置情報を取得できる事を確認した. 初年度では加速度のパターン解析を十分行なうには至らなかったが, 試作システムや市販の位置情報取得システムでの可用性が十分評価できたことから,次年度以降は日常的な動作に伴う加速度データを収集, 解析し, 医療機関におけるインシデント検知と安全性向上のためのシステムの要件を検証していく予定である. 加えて, 位置情報を効率的に取得し, センサー情報との複合によりユビキタス技術が安全な医療環境に資するための要件を検証する.
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