研究概要 |
本研究は,電子タグをはじめとした各種固体認証技術とセンサー技術の組み合わせにより患者や医療機器の状態をリアルタイムに検出・分析するとともに,無線LAN等の通信技術を利用して病院情報システムとの融合化を図る事で,ユビキタスネット技術が病院内インフラとして医療安全向上へ寄与する事を目的とした研究である.研究2年目である平成21年度は,医療現場での利用を想定し,市販アクティブタグへ加速度センサーを内蔵して可用性評価を行なった.実験は研究代表者の所属する部門内および病院内の未使用箇所(改修予定の病棟ならびに,患者の利用がない階段等)を利用して行い,当該タグの位置情報ならびに加速度情報を取得できるアクセスポイントを仮設して行った.体動の検出は,人体への装着により実験を行ったが,人体での実験が危険な強度の衝撃検出には,人体模型を利用した衝撃検出実験を行い,安全性に配慮した.今年度は実運用での利用を視野に入れ,衝撃強度の閾値を段階的に設定(2G,4G,8G,16G)し,タグの装着部位や転倒方向などを変え,それぞれの場合の検出可否を測定した.人体人形による転倒シミュレーションでは,いずれの閾値でも良好に検出できたが,人体への装着で体動検出した場合は,装着部位によってFalse Positiveが多くなるため,引き続き検討が必要と思われた.最終年度の次年度では,これまで行ってきた波形の分析と合わせ,医療機関におけるインシデント検知と安全性向上のためのシステムの要件を,実運用を想定して総合的に検証し,位置情報を効率的に取得し,センサー情報との複合によりユビキタス技術が安全な医療環境に資するための要件を総括する.
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