研究課題/領域番号 |
20390150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中島 和江 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (00324781)
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研究分担者 |
高橋 りょう子 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (20467559)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (60379203)
坂田 泰史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00397671)
松村 泰志 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90252642)
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40202204)
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キーワード | クオリティ・インディケータ / プラクティスバンドル / ガイドライン遵守率 / データウエアハウス / テンプレート / 医療安全 / 栄養管理 / 医療の質評価 |
研究概要 |
本研究により、医療の質・安全の定量的評価指標であるクオリティ・インディケータの測定に関して、次のような課題が明らかになった。医療安全については、介入の根拠や対策の効果を示す指標がいまだ特定されていない。職員の自主的報告であるインシデントレポート以外の方法で、モニターすべき事象の全数把握や背景要因との関係分析を行うことが必要である(例えば、特定薬剤の全処方件数に占めるオーダーエラー率、処方件数や患者一人あたりの診察時間との関係)。新しい医療安全の領域として、栄養管理に関する指標も必要である。また、クオリティ・インディケータの特定が、必ずしも科学的エビデンスを反映した診療プロセスの導入とその結果のモニターという観点から行われていない。臨床ガイドラインの遵守率やプラクティス・バンドルの導入効果(例えば、CVC関連菌血症予防対策、人工呼吸器関連肺炎予防対策)は、指標の重要候補であると考えられた。さらに、指標ごとに一つの数値(例えば率)として経年的に示されるクオリティ・インディケータでは、質の問題に関する原因の特定が困難である。従って、個々のデータのばらつき(分布)を視覚的に示し、必要に応じて適切な変数で層別化することにより、質に関する構造的原因の究明と適切な介入及び評価が行うことが必要である。また、クオリティ・インディケータ算出に必要な、質の高い診療情報を格納するデータウエアハウスの整備が不十分である。必要なデータを収集するためのテンプレート開発(例えば、院内救急コールに関する情報)、診療情報管理士など専門家の関与による各種データベース(医療材料コードなど)の利用、院内に分散する膨大な種類と数の文書データの有効活用(例えば、本院で開発した情報処理通信技術を用いたDACSと呼ばれる医療文書管理システム)などが不可欠であると考えられた。
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