本研究は、医療機関、福祉施設、在宅医療等における電磁環境を総合的に検討し、また医療機器と無線通信との両立を図ることで、安全かつ効率的な医療の遂行を可能とすることを目的とする。平成21年度には、主に以下のような成果を得た。 ○ 安全な医療遂行に必要な電磁環境の総合的な調査:放射電磁界 市販のマイクロ波治療器が放射する電磁波により電磁界について調査し、出力を強めた際には医療機器への影響がありえることを示した。また、人工呼吸器に取り付けるタイプの加湿器が発する磁場を観測し、医療機器に影響が出る恐れがある強さである場合があることを示した。これらの結果は国際学会において発表した。 ○ 安全な医療遂行に必要な電磁環境の総合的な調査:電源重畳ノイズ及び接地品質 医療機関内の医用接地の現状について調査すると共に、その改善方法について実験した結果を日本医療福祉設備学会において発表した。 また医療機関内で用いられる輸液ポンプやテレビ等の家電製品などにおける接地不良がもたらす放射電磁界について測定し、その結果をまとめて投稿していた論文が掲載されると共に、国際学会でも発表した。 ○ 電磁環境シミュレーションの機能強化と実証試験 より実況に即した複数放射源による三次元電磁界分布を対象として行うべく、プログラムの改良を図った。またRF-IDタグリーダが発する電磁波を導波管により制御するシミュレーションを実施し、結果は平成22年度の日本生体医工学会において発表する。
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