研究課題
本研究は、現在日本で進行中の代表的な大規模コホート研究の1つであり、開始時40-79歳と高齢者を多く含むJACC Study(the Japan Collaborative Cohort Study)を用いて、後期高齢期・超高齢期に達することに関連する生活習慣を検討することを目的としている。今年度は、生活習慣の組み合わせと平均余命について検討した。生活習慣として喫煙、飲酒、運動、睡眠、緑黄色野菜の摂取、肥満の6つを取り上げ、それぞれ健康的な習慣を1点、不健康な習慣を0点として対象者毎に合計値を算出した。60歳時の平均余命は全体では男23.8年、女30.4年であったが、ライフスタイルスコアが高いほど長くなり、最もスコアの低い群(0-2点)と高い群(6点満点)の差は男で9.6年、女で8.2年であった。さらに、喫煙するか否かで層別し、喫煙以外の5つの習慣の合計値別に平均余命を算出したところ、男性喫煙者でスコア5点満点(喫煙以外はすべてよい生活習慣)のものの平均余命は60歳時点で23.2年と、男性非喫煙者でスコア0-1点(喫煙はしないがその他の生活習慣は悪い)のものの平均余命24.5年より短く、女性でも同様の傾向であった。今回は、60歳時点でも健康的な生活習慣を保つことがその後によい影響を与えることを、直観的にわかりやすい平均余命の形で示すことができた。また、喫煙習慣を層別化して検討したところ喫煙の影響の大きさが明らかとなったことから、喫煙者ではまず禁煙することが推奨される。来年度以降も引き続き高齢者に焦点をあて、生活習慣と長寿あるいは死亡との関連を検討する。なお、JACC Studyでは死亡・転出情報を今後も継続把握する予定である。死亡小票の閲覧に当たっては厚生労働省の許可を得、関係諸施設と事務局との情報のやり取りには個人識別情報は外してIDを用いて行う。
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J Epidemiol
巻: 20 ページ: 370-6
Eur J Public Health
巻: (in press) ページ: DOI:ckq175[pii]10.1093/eurpub/ckq175
http://www.aichi-med-u.ac.jp/jacc/index.html