研究課題
α_1-酸性糖タンパク質(AGP)の薬物結合サイトのトポロジー及びvariant間における結合選択機構の解明を目的としてAGP/薬物複合体のX線結晶構造解析を行った。1.A体については、既に構造解析された薬物(アミトリプチリン、クロルプロマジン)と類似した骨格を持つイミプラミン及びチオリダジンの複合体結晶構造を決定した。イミプラミンの芳香環部分は、既存の結合部位で認識されていたのに対し、チオリダジンの芳香環部分は、この結合部位の他に、Phe32、Ser114といった新たな部位で認識されていることが分かった。A体は、今回明らかになったチオリダジン結合部位を含めた領域で、Phe49、Arg90、Phe112残基を中心とした相互作用を形成し、類似骨格を持つ薬物を認識することが明らかとなった。2.F1*S体については、薬物結合様式の解明に向け、まずF1*S体のアポ体のX線結晶構造解析を行った。その結果、これまでの報告とは異なる新たな結晶系で、F1*S体のアポ体構造を決定した。3.AGPと内因性物質PAFの結合を、誘起CDスペクトルを用いた置換実験により確認した。さらに、AGP/PAF複合体の構造解析を行ったところ、A体の結合ポケット内には、PAFの代わりに沈殿剤PEGの結合が推察されたが、F1*S体については、非対称単位3分子中の1分子でPEGとは異なる電子密度が観察できた。現在、PAFの原子座標を用いてCNS、PHENIXによる構造精密化を進めている。以上のように、本研究では新たなA体/薬物複合体のX線結晶構造解析により、A体における類似骨格を持つ薬物の認識部位をより詳細にマッピングすることに成功した。また、F1*S体と薬物あるいは内因性物質との複合体の構造解析に向けた基盤を構築した。
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