研究概要 |
大腸癌(結腸・直腸癌)はわが国における癌の死亡者数の第3位であり、2015年にはさらに増加すると予測される。臨床病期(進行度)がII期III期の進行大腸癌場合は所属リンパ節郭清を3群まで行なっても一定の割合で再発するため術後補助化学療法と、さらに切除不能例や再発例に対する化学療法の治療成績向上が重要である。しかし、術後補助化学療法により真に恩恵を受ける(予後が改善する)患者は全体の約30%程度(あるいはそれ以下)と考えられ、真に補助化学療法が必要な患者を層別化する分子マーカーの開発が必要である。そこで本研究は、第1に腫瘍の分子解析により進行大腸癌(II期III期)の術後に予後を予測する分子マーカーを開発すること目的にする。DNAマイクロアレイ解析により、新たにがんの再発・予後を予測する発現プロファイルを同定し、進行大腸癌(II期III期)予後を予測しうるかについて、パラフィン包埋組織を材料にした遺伝子発現解析法を習得して後向き研究を継続的に実施した。第2に、切除不能進行・再発大腸癌に対する化学療法に対する抗がん剤感受性予測について分子マーカーを探索すること目的にする。前向き研究「T-CORE 0801 EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対するCetuximabおよび塩酸イリノテカン併用療法のKRAS変異有無による有効性・安全性の検討」(学内倫理委員会承認、UMIN-CTR登録UMIN000001668)の症例登録を終了(43例)し、抗EGFR抗体セツキシマブ(+塩酸イリノテカン)の奏効率、無増悪生存に関する感受性を予測するEGFR,RAS-MAPK,PI3K-AKT経路の遺伝子変異の包括的変異解析を実施中である。
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